抜け毛・薄毛の原因を解説 ストレスや遺伝は関係ある?効果的な対策法をご紹介


ふと鏡を見たときに気になる髪のボリューム感。「もしかして抜け毛が増えている?」と感じている人も多いのではないでしょうか?

抜け毛にはさまざまな原因があります。そこで今回は、抜け毛の原因を詳しく解説するとともに、抜け毛を予防する効果的な対策方法を紹介します。

抜け毛や薄毛の悩みが気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者

スタイリスト・鴨林 優

約10年青山や自由が丘エリアでトップクリエイターとして腕を振るう。こだわりある空間や製品作りに力を入れるため2011年に独立し『Regolith Jiyugaoka』をオープン。輪郭や骨格、髪質から似合わせるオーダーメイドスタイルに定評。ファッション誌やヘアカタログ、メーカーの講師としても活躍。

抜け毛が増える原因は?

そもそも髪は自然な状態でも、ある程度の年月を経ると抜けていくものです。

しかし「最近抜け毛の量が増えた」「全体的に髪のボリューム感が減っている」と感じる場合は、抜け毛が増えているかもしれません。

抜け毛が増える原因は複数あります。まずはそれぞれの原因について正しく理解して、ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

抜け毛の原因①加齢

一般的な抜け毛の原因で、まず考えられるのが「加齢」ですが、なぜ年を重ねると、抜け毛が増えてしまうのでしょうか?

髪は「ヘアサイクル」という一定の周期に伴って、成長と脱毛を繰り返しています。

ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」の3つの段階があり、成長期では髪のもととなる毛母細胞の分裂が活発に行われ、新しい髪が生えてきます。退行期では、毛母細胞の分裂が徐々に衰えていき、休止期に至ると細胞の分裂は止まり、髪が抜け落ちていきます。

しかし加齢とともに、成長期の髪の割合が減少し、休止期の髪の割合が増えていきます。また成長期の髪も、1本1本が細くなるため、全体的なボリューム感が減っていきます。

加齢によるヘアサイクルの変化には個人差がありますが、一般的には40代~50代ごろから変化がみられるといわれています。

抜け毛の原因②生活習慣の乱れ

髪のもととなる毛母細胞に、必要な栄養素が送り込まれることで、髪は健康的に成長します。しかし日々の食事や睡眠などの生活習慣が乱れると、必要な栄養が毛母細胞に届かず、抜け毛を引き起こすことがあります。

例えば過度な食事制限によるダイエットを繰り返していると、髪の成長に必要な栄養が足りなくなる可能性があります。さらに脂っこい食事ばかりを取っていると、過剰な皮脂分泌を引き起こすこともあり、頭皮環境の悪化にもつながるのです。

また睡眠不足が続くと、血行不良が生じたり、新陳代謝が乱れたりして、抜け毛を引き起こす原因になります。

抜け毛の原因③頭皮環境の乱れ

頭皮には全身の中でも皮脂腺が最も多く存在しており、汗腺は手のひらや足の裏に次いで多く存在しています。そのため皮脂や汗によって汚れやすく、汚れを放置していると、頭皮の毛穴がつまったり、頭皮のかゆみや肌荒れを引き起こしたりしてしまうのです。

このような頭皮環境の乱れは、健康的なヘアサイクルにも影響を与えるため、抜け毛の原因になります。

また頭皮の汚れを落とすことばかりを意識して、過度なシャンプーを繰り返してしまうと、今度は頭皮に必要な皮脂やうるおいが流れてしまい、頭皮環境が乱れやすくなります。

抜け毛の原因③ホルモンバランスの変化

特に女性の抜け毛の増加には、ホルモンバランスの変化が関係しています。

例えば出産後は「抜け毛が増えた」と感じる人が多くいますが、これは妊娠中に分泌されていた女性ホルモンが、出産を機に急激に減少することで、ヘアサイクルが乱れてしまうためと考えられています。

また50代以降の、いわゆる「更年期」に入ってから、抜け毛が急激に増えたと感じる女性も少なくありません。これは加齢の影響もありますが、さらに更年期に入り女性ホルモンの分泌が減少し、ヘアサイクルが乱れてしまうことも原因のひとつです。

「ストレス」や「遺伝」は抜け毛の原因に関係している?

抜け毛や薄毛の原因には、ストレスや遺伝が関係しているという話を聞いたことがあるかもしれません。

しかしストレスを感じたからといって、必ずしも抜け毛が増えるわけではありません。また両親や祖父母に薄毛の人がいるからといって、必ずしもご自身が薄毛になるわけではありません。

ここではストレスや遺伝と、抜け毛・薄毛の関係について詳しく見ていきましょう。

「ストレス」と抜け毛・薄毛の関係

ストレスと抜け毛の直接的な因果関係は、実はまだ明確には解明されていません。

しかしストレスを感じることで「血行が悪くなる」「自律神経のバランスが乱れる」など、身体に影響があることは事実です。

健康的な髪の成長と血流には深い関係があります。慢性的なストレスと感じることが、抜け毛の増加に影響を与えている可能性は少なくないでしょう。

「遺伝」の抜け毛・薄毛の関係

遺伝が関係する抜け毛は、男性型脱毛症(AGA)と呼ばれる疾患です。

男性型脱毛症とは、男性ホルモンのひとつである「テストステロン」が変異し、毛根にダメージを与えることで薄毛が進行する疾患です。テストステロンの変異に関係している「5-αリダクターゼ」という酵素の活性は、遺伝に関係しているケースが多いといわれています。

そのため血縁関係者で、男性型脱毛症に悩んでいる人がいる場合は、早めに専門のクリニックなどで相談してみましょう。

抜け毛・薄毛は病気の可能性もある?

抜け毛や薄毛は、日々の生活習慣やストレスによって引き起こされる場合もありますが、実は病気による症状であるケースも考えられます。病気による症状の場合は、早めに専門医に相談することが大切です。

ここからは抜け毛・薄毛を伴う疾患について紹介します。(※ご紹介する疾患は、医師の診断が必要です。)

抜け毛を伴う疾患①男性型脱毛症(AGA)

男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンが関係している疾患です。おでこの生え際や頭頂部、またはその両方の毛が薄くなっていくのが特徴的な症状です。

男性型脱毛症の一般的な治療法は、投薬治療です。その他、注射による治療や植毛といった方法もありますが、まずは専門医に相談し、適切なカウンセリングを受けることをおすすめします。

抜け毛を伴う疾患②びまん性脱毛症

びまん性脱毛症は、頭部全体の髪の密度が薄くなる疾患で、多くは女性に見られます。びまん性脱毛症には、男性ホルモンが関係している「FAGA(女性の男性型脱毛症)」と、休止期の髪の割合が増える「休止期脱毛症」の2種類があります。

専門医のアドバイスに従って、生活習慣を見直し、頭皮や頭髪のケアを行うことが大切です。

抜け毛を伴う疾患③円形脱毛症

極度のストレスによって、一部の毛乳頭の機能が抑制され、円形に髪が抜け落ちてしまう疾患です。症状は突発的に起きることが多く、1カ所、または複数カ所に円形の脱毛が生じます。

円形脱毛症の一般的な治療方法は投薬治療ですが、症状によって対処が異なるため、早めに専門医に相談しましょう。

今日からできる!抜け毛・薄毛を防ぐ対策法を紹介

ここからは、今日からトライできる抜け毛・薄毛の予防方法を紹介します。抜け毛が増えてしまう原因を理解したうえで、ご自身の状況に合わせた対策方法を取り入れましょう。

抜け毛対策①生活習慣を整える

まずは食事や睡眠など、日々の生活習慣を整えることから始めましょう。

食事はたんぱく質やミネラル、ビタミンなどの栄養素をバランスよく摂取することを心がけ、脂質の高い食事が続かないように意識します。

また喫煙習慣も改善したほうがいいでしょう。タバコに含まれるニコチンは、血行不良の原因にもなるため、抜け毛や薄毛を引き起こす可能性があります。

さらに十分な睡眠をとることは、血行改善にも関係し、またストレス解消にもつながります。就寝前はパソコンやスマホを見ないように心がけ、良質な睡眠を取りましょう。

抜け毛対策②頭皮環境を整える

頭皮の汚れや過剰な皮脂は、毎日のシャンプーによって取り除き、清潔な頭皮環境をキープすることが大切です。シャンプーは頭皮に必要な油分や水分を取り除きすぎない「アミノ酸系洗浄成分」を使用したスカルプケアタイプがおすすめです。

シャンプーをしっかり泡立てて、頭皮を揉みこむようにマッサージしながら洗いましょう。ただしべたつきが気になる場合でも、1日に何度もシャンプーをするのは逆効果です。日常生活レベルの汚れであれば、1日1回のシャンプーで十分でしょう。

抜け毛対策③上手にストレス解消をする

毎日忙しく過ごす現代人は、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいることも少なくありません。毎日の生活の中に、適度な運動習慣を取り入れたり、休日は体を休めたりなど、上手にストレスを解消することが、健やかな髪をキープするためにも大切なポイントです。

お気に入りの香りのシャンプーで、リラックスしながらヘアケアに取り組んでみるのも、ストレス解消につながるでしょう。

抜け毛対策④育毛剤を使用する

デイリーケアに、育毛剤をプラスするのもおすすめの方法です。

育毛剤には、育毛効果や抜け毛・薄毛の予防効果があります。育毛剤を選ぶ際は、有効成分が配合された医薬部外品の薬用化粧品を選びましょう。

また育毛剤には、頭皮にうるおいを与えて頭皮環境を整える効果も期待できます。育毛剤は、抜け毛や薄毛が気になり始める30代後半~40代ごろから、早めの予防ケアとして取り入れるのが効果的です。

まとめ

抜け毛や薄毛の原因には、さまざまなものがあります。まずは自分の生活習慣や頭皮環境の状態をチェックして、抜け毛や薄毛につながる要因がないか確認してみましょう。

また抜け毛や薄毛の症状が出る疾患もあるため、急激な抜け毛・薄毛が気になる場合は、早めに専門医で相談することが大切です。

抜け毛や薄毛の予防は、毎日の生活習慣を見直すことから始めましょう。アミノ酸系洗浄成分を使用したシャンプーで髪をやさしく洗い、頭皮を清潔な状態を保つ、育毛剤を使用して頭皮ケアを行う、など日々のデイリーケアも欠かせません。

正しい抜け毛予防の習慣を身につけて、ボリューム感のある健やかな髪をキープしましょう。

 この記事を書いた人

ライター:ナオ

化粧品メーカーで10年以上、スキンケアやヘアケア、メイクアイテムの企画や開発を担当していた美容ライター。日本化粧品検定1級の資格を保有。