頭を触ったときや、ドライヤーで髪を乾かしているときに、モワッと嫌な臭いがしたことはありませんか? 気になるその臭い、もしかしたら「頭皮の臭い」が原因かもしれません。
頭皮から嫌な臭いがする原因は「汗」「皮脂」「雑菌」の3つです。今回は、頭皮から臭いがするメカニズムや、頭皮の臭いを防ぐ効果的なシャンプー方法、今日から始められる簡単な臭い対策方法などを紹介します。
この記事の監修者
スタイリスト・鴨林 優
約10年青山や自由が丘エリアでトップクリエイターとして腕を振るう。こだわりある空間や製品作りに力を入れるため2011年に独立し『Regolith Jiyugaoka』をオープン。輪郭や骨格、髪質から似合わせるオーダーメイドスタイルに定評。ファッション誌やヘアカタログ、メーカーの講師としても活躍。
頭皮の臭いの原因は?
頭皮の臭いの原因物質は「汗」「皮脂」「雑菌」の3つであり、それぞれが影響しあって、頭皮の嫌な臭いが発生してしまうのです。
頭皮の臭いの原因①汗
頭皮は手のひら、足の裏に次いで汗腺(エクリン腺)が多い場所です。そのため汗をかきやすく、これが臭いの原因になってしまいます。
しかしエクリン腺から出る汗そのものには、本来臭いはありません。かいた汗をそのままにしていることで、頭皮の常在菌が汗を分解・酸化させて、臭いのもとを作ってしまうのです。
頭皮の臭いの原因②皮脂
頭皮は身体の中で、最も皮脂腺が多い場所です。そのため皮脂の分泌が盛んで、べたつきやすい部分でもあります。
汗と同じく、皮脂そのものには臭いはありません。しかし肌にある常在菌が皮脂を分解・酸化させて、臭いの原因物質を作り出してしまいます。
また皮脂が分解された物質と、汗が分解された物質が混ざり合うことで、使い古した油のような臭いが生じます。この油のような臭いは、30代~50代ごろに最も強くなるという特徴があります。
頭皮の臭いの原因③雑菌
頭皮は髪で覆われており、また汗や皮脂で濡れやすく、雑菌が好む「高温多湿」な環境です。また菌の餌となる皮脂の分泌も多いため、雑菌が繁殖してしまいます。
菌が繁殖することで、汗や皮脂が臭い物質に分解されて、ますます頭皮の臭いが気になる状態に陥ってしまうのです。
頭皮の臭いを防ぐシャンプー方法
頭皮の臭いを防ぐためには、頭皮に付着した汗や皮脂をしっかり洗い流して、清潔に保つことが大切です。そこでここからは、頭皮の臭い予防に効果的なシャンプーのやり方を解説します。
①シャンプー前にブラッシング
まずはシャンプー前の頭皮と髪が乾いた状態で、ていねいに髪をブラッシングしましょう。ブラッシングすることで、頭皮や髪に付着した汚れが浮き上がり、予洗いやシャンプーで素早く汚れを落とせるようになります。
目の粗いブラシやクッション性の高いブラシを使用して、頭皮を傷つけないように注意しながら、やさしくブラッシングするのがポイントです。
②ていねいにお湯で予洗いをする
ブラッシングをした後は、お湯で予洗いします。
ただし軽く髪や頭皮を濡らすだけでは、予洗いとしては不十分です。シャワーで髪をすすぎながら、指の腹で頭皮や髪の根元をしっかり洗います。
この予洗いで汚れの6割程度を落とすイメージで、ていねいにすすぎましょう。
③シャンプーは適量を使用、泡立ててからつける
シャンプーの使用量は、多すぎても少なすぎても不適切です。髪の長さに応じて、商品ごとの適量を手のひらに取りましょう。
手に取ったシャンプーをそのまま頭皮や髪につけるのではなく、まずは手のひらで伸ばして泡立てます。
④頭皮を指で揉みこむように洗う
指の腹で頭皮を揉みこむようにマッサージしながら洗います。指を少しずつ移動させて、頭皮全体を洗ってから、髪全体にシャンプーを広げていきましょう。
後頭部や耳の後ろなど、洗い残しがないように意識しながら、全体を洗います。髪を洗う際は、手ぐしで髪をとかすようにしながら、ゴシゴシこすらずやさしく洗います。
⑥しっかりすすぐ
全体が洗い終わったら、お湯でしっかりすすぎましょう。すすぐ際は、37℃~40℃くらいの熱すぎない温度のお湯でていねいに流します。お湯の温度が高すぎると、頭皮が乾燥してしまうので注意しましょう。
髪の生え際や襟足、耳の後ろなどにもシャンプーが残らないように、しっかり洗い流します。
⑦トリートメントは頭皮ではなく髪につける
シャンプー後にトリートメントやコンディショナーを使用する場合は、頭皮ではなく髪の毛先から生え際の上あたりまで塗布します。
トリートメントやコンディショナーには、髪をコーティングして手触りをよくする成分が配合されています。頭皮にトリートメントやコンディショナーが残ってしまうと、これらの成分が原因でべたつきが生じることもあります。
トリートメントやコンディショナーは、しっかりすすいでも効果が落ちることはありません。すすぎ残しがないように、高すぎない温度のお湯でていねいに流しましょう。
⑧シャンプー後はしっかり乾かす
シャンプー後は、タオルドライで水気を取り除いたら、ドライヤーで根元までしっかり乾かします。髪や頭皮が濡れた状態のまま放置していると、髪の痛みだけではなく、頭皮環境の悪化にもつながります。
頭皮の臭いを防ぐシャンプーQ&A
Q.シャンプーは毎日したほうがいい?
A.頭皮や汗や皮脂の分泌量が多い場所ですが、分泌量には個人差があります。
べたつきや臭いが気になる人は、毎日シャンプーをしたほうが良いでしょう。頭皮が乾燥しやすく、臭いがそれほど気にならない場合は1日おき、などご自身の頭皮の状態に合わせたサイクルでシャンプーをしましょう。
ただし汗をかきやすい夏場は、毎日シャンプーをしたほうが頭皮を清潔に保てます。またスポーツ後もシャンプーで頭皮の汗や皮脂を洗い流しましょう。
Q.臭いが気になるときは1日に何度もシャンプーをしたほうがいい?
A.シャンプーのやりすぎは、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまいます。それによって頭皮の水分と油分のバランスが崩れ、過剰な皮脂が分泌されてしまい、結果として臭いが気になる悪循環に陥ってしまうケースもあるのです。
正しい方法でシャンプーができていれば、日常的なシャンプーは1日に1回で十分でしょう。
Q.頭皮の臭いを防ぐシャンプーを選ぶコツは?
A.頭皮の臭いが気になる人は「頭皮の汗臭を防ぐ効能効果」のある薬用シャンプーの使用がおすすめです。
今日からできる!頭皮の臭い対策
毎日のシャンプー以外にも、意識したい頭皮の臭い対策があります。ここからは今日からトライできる手軽な対策方法を紹介します。
頭皮の臭い対策①食生活に気を付ける
実は頭皮環境は、食生活とも密接な関係があります。脂質の多い食事を続けていると、皮脂の分泌が多くなり、頭皮がべたついたり臭いが気になったりしがちです。
頭皮を健やかに保つためには、脂質の取りすぎに注意し、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
頭皮の臭い対策②枕カバーを小まめに洗う
就寝時は思っている以上に汗をかきます。そのため毎日使う枕のカバーは、頭皮の汗や皮脂がしみ込んでおり、雑菌が繁殖しやすい場所です。
せっかくシャンプーで頭皮や髪を清潔に洗っても、就寝時の枕で頭皮や髪が汚れてしまっては本末転倒です。心地よい睡眠をとるためにも、枕カバーは小まめに洗濯して清潔に保ちましょう。
頭皮の臭い対策③睡眠をしっかりとってストレスをためない
頭皮環境を整えるためには、生活習慣を見直すことも大切です。
とくに睡眠不足が気になっている人やストレスを感じやすい人は要注意。睡眠不足やストレスのある生活が続くと、ホルモンバランスが乱れて、皮脂の分泌が過剰になることがあります。
生活リズムを整え、質の良い睡眠をしっかりとり、適度な運動を心がけるなど、ストレスをためない生活を意識しましょう。
まとめ
頭皮の臭いの原因は「汗」「皮脂」「雑菌」の3つです。これらの原因物質がお互いに影響しあって、不快な臭いのもとを作り出しています。
まずは日々のシャンプーで、汗や皮脂をしっかり洗い流して、頭皮を清潔に保つことが大切です。とくに臭いが気になる人は、頭皮の汗臭を防ぐ効果のある薬用シャンプーを使ってみましょう。また生活習慣を見直したり、毎日使用する枕カバーを清潔に保ったりすることも重要です。
適切なケアを取り入れて、臭いの気にならない健やかな頭皮を目指しましょう。
この記事を書いた人
ライター:ナオ
化粧品メーカーで10年以上、スキンケアやヘアケア、メイクアイテムの企画や開発を担当していた美容ライター。日本化粧品検定1級の資格を保有。